木戸君の化学講座


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第10話「水の蒸発と沸騰の違い」
第9話 今回は「石灰」のお話
第8話「アルコール」のお話
第7話 今回は「同素体」について
第6話 今回は生化学の分野から「免疫反応」のお話
第5話「銅とアイシャドウ」
第4話 今回は「ビールの泡」のお話
第3話「酸性雨」について
第2話 環境に関係したお話
第1話 「化学」を勉強したことありますか?


第10話「水の蒸発と沸騰の違い」

日常会話でも「蒸発」・「沸騰」なんて言葉は使いますが、「じゃあ、その違いは?」とたずねられたらどう答えます?? そう言われると……でしょ!?

物質には、気体・液体・固体の3つの状態があります。(これを物質の三態といいます)

この中で、液体が気体にかわることを蒸発といいます。しかし、100℃まで水を加熱し、水蒸気が出ている時には沸騰しているといいます。さて、蒸発と沸騰は違う現象なのでしょうか??

「水は何度で気体になりますか?」と問われれば、たいていは「100℃!」と答える方が多いのではないでしょうか。湿度という言葉はご存知だと思いますが、空気中には100℃以下でも水分(水蒸気)が存在します。すなわち、100℃未満でも蒸発が起こります。簡単に差を言えば、

蒸発は水面で水が蒸気になること、沸騰は特に液体の内部からも蒸気が発生すること、というところでしょうか。ちなみに、富士山の頂上でお湯を沸かすと、約87℃で沸騰します。これは、標高が高くなって空気が薄くなった、すなわち気圧が下がったために起こる現象です。逆に気圧が高い状態では、100℃より高い温度で沸騰します。沸騰とは周りの気圧によって温度が違ってくるのもひとつ覚えておいてください。つまり、水に関して言えば、1気圧(1atm)で沸騰する温度を沸点といいます。気圧が変わったり物質が違えば、沸点はまちまちなのです!!
(2003.5.4)


●第9話 今回は「石灰」のお話

運動会などでラインを引く際。白い粉を使った記憶が誰でもあると思います。ちょっと思い出してみてください。イメージがわきましたか!?この粉は消石灰と言います。石灰岩から作ります。石灰岩の成分は炭酸カルシウム(CaCO)でそれを石灰がまのなかで焼くと分解して、<酸化カルシウム(CaO):生石灰>と二酸化炭素になります。そして、酸化カルシウムと水が反応すると、<水酸化カルシウム(Ca(OH)):消石灰>になるのです。

  (反応式) CaCO → CaO + CO

        CaO + HO → Ca(OH

小学校の理科の実験で、石灰水の中に息を吹き込んで、白く濁った(白濁)ことを覚えていますか? この際、水酸化カルシウム(Ca(OH))は二酸化炭素を吸収して、石灰岩と同じ成分の炭酸カルシウム(CaCO)に戻るのです。こうしてできる炭酸カルシウムは、微粒子ですので、沈降性炭酸カルシウムといって、「歯磨き粉」などに使われます。

  (反応式) Ca(OH) + CO → CaCO + H

これと同じ反応が建築にも使われています。壁や屋根瓦の間に塗る「漆喰(しっくい)」です。これは、消石灰の粉に、海草の煮汁を加え、「スサ」というセンイを混ぜ、水を加えて泥状にしたものです。これを塗ると、はじめは柔らかいのですが、徐々に空気中の二酸化炭素を吸収して炭酸カルシウムになり、やがて水にぬれても流れない固い壁になるのです。運動場に引いた白いラインも、運動会を終えて数日経つと、白い薄い板のようになるのもこの反応によるものです。石灰岩は、二酸化炭素を溶かした雨水に徐々に溶けて、何万年、何十万年という月日をかけて水の通り道に「鍾乳洞」という洞穴を作ります。その中で、炭酸カルシウムを析出して,
「鍾乳石」や「石筍(せきじゅん)」をつくり、また、水に溶けた石灰分は、海に流れて貝やサンゴに捕まえられ、固い貝殻になるのです。このように、「石灰」はわれわれの日常生活のなかの、意外と近いところにあるのです!!
(2003.2.11)


第8話「アルコール」のお話

最近はめっきり涼しくなって、納涼会も一段落といったところでしょうか。現代のようにストレスがたまることの多い世の中においてお酒は必須アイテムといったところでしょうか。一方、酒におぼれる、酒にのまれる、アルコール中毒など、マイナスの面も絶えず問題になっているのも事実です。ここで問題になっているのはエチルアルコール(エタノール)のことで、でんぷんの発酵によって作られた物です。実は、アルコールとは一群の化合物の名称で、何百種類ものアルコールが存在します。一見エチルアルコールと見分けのつかないメチルアルコール(メタノール)は、人間にとって有害で、多く飲むと生命にかかわります。化粧品や歯磨き粉に入っている甘いアルコールにグリセリンがあります。これを硝酸(HNO)で処理すると、ニトログリセリンとなり、ダイナマイトの原料になり、恐ろしい爆発力をもちます。しかし、このニトログリセリンは医療界においては心臓発作を緩和する速効薬として重宝されています。アルコール類の共通点は、分子の中に「水酸物基(ヒドロキシル基):−OH」という、酸素と水素のつながりを持っているということです。ヤシの油からとれるラウリルアルコールというのは、炭素の原子が12個もつながった鎖状の端に水酸物基がついていて、このように大きい分子のアルコールは、高級アルコールと言います。このラウリルアルコールからは、合成洗剤も作られます。一言に「アルコール」といっても、多種多様のものがあるということがおわかりになったでしょうか!といっても、やっぱり ピン! とくるのは「お酒」ですかね!!

 <まとめ>

@1価アルコール(−OHがひとつ)

  メチルアルコール:CHOH     エチルアルコール:COH

A多価アルコール(−OHがたくさん)

  グリセリン:C(OH)     ブドウ糖    エチレングリコール

B高級アルコール(−OHのついている部分が大きい)

  ラウリルアルコール:C1225OH  セシルアルコール:C1633OH

(2002.8.25)


第7話 今回は「同素体」について

聞いたことあります?化学の本の最初のほうのカラーのページによく載ってます。有名なところでは「ダイヤモンド」。そう、あの光り輝く、世の女性を魅了するダイヤモンドですが、これは炭素(C)という元素だけでできている単体です。
「単体」とは、ただ1つの元素からなる物質をいいます。このダイヤモンドの同素体が、電池や鉛筆の芯の材料になる「黒鉛」なのです。この2つの物、私たちの感覚としては全く別の物と思いがちですが、元になっているものは炭素(C)のみで構成されているのです。分かりやすくいえば「親戚」みたいな物です!?その他でよく知られている物の例では、現在オゾンホールなどでメジャーとなった「オゾン」。これは、酸素(O)の同素体です。黄リンと赤リン(P)、あまりなじみのないところでは、硫黄(S)に斜方硫黄(黄色)、単斜硫黄(淡黄色)、無定形硫黄(黄褐色)などがあります。
(2001.6.28)


●第6話 今回は生化学の分野から「免疫反応」のお話

久々の第6話、今回は生化学の分野から「免疫反応」のお話。皆さんもよく知っているたんぱく質。これの中には、外からの侵入や自分の体内で有害な物を識別してそれと結合して排除しようとする働きのものがあります。このようなたんぱく質による反応を「免疫」と言います。免疫は生体を守るばかりでなく、病気の予防や診断にも使われます。
例えば種痘は予防の代表的なもので、猛威をふるった天然痘が、1980年にWHO(世界保健機構)から、その絶滅宣言がだされるほどの成果をあげました。またツベルクリン反応は結核の予防に大きな威力を発揮しました。ここで重要となってくるのが「抗原と抗体」。体内に異物が侵入してきたときに、これを無害なものにしたり排除したりするために、異物の特徴に応じて、それと結合することのできる特殊なたんぱく質が作られます。このたんぱく質を「抗体」といいます。それに対し、異物としての化学物質やウイルス、細菌などを「抗原」と言います。体内で抗原が抗体と結合して、無毒化され除去されるのに十分な量の抗体が作られるまでには、相当の時間がかかります。体が弱っている時などはなおさらです。よって、あらかじめ体調の良い時に、特定の病原菌を弱めた、いわゆる「ワクチン」を体内に入れておくと、それによって抗体が準備され、本当の病原菌やウイルスが侵入してきたとき、時間をおかないでそれらの異物を無力化し、発病を未然に防ぐことができます。(これは「予防医学」の考え方です)

一度病気にかかって、体の中に抗体が作られると、以後同じ病気にかかっても軽く済みます。
ここで、恐いのが「AIDS」。この重要な免疫機構が突然失われるからです。(後天性免疫不全症候群)免疫反応は、「臓器の移植」や、喘息、花粉症などのように、異物に過敏になる反応もあてはまります。

とにもかくにも、人間が健康に暮らしていくためには、なくてはならないものなのです!!人間の体は凄い!!!
(2001.1.14)


第5話「銅とアイシャドウ」

銅は、イオン化傾向が小さい、つまり酸化しにくい金属なので、常温では酸化しないことになっています。しかし、これは乾燥した空気中のことで、湿気や二酸化炭素を含む空気中では、さびて青色の緑青(ろくしょう)を生じます。10円玉で古いものに、青みがかったさびがついているものありますよね。そう、あれが緑青です。緑青は、炭酸水酸化二銅という化学名の化合物です。天然には、孔雀石(マラカイト)という鉱物として産出され、美しい結晶の物は飾りとして使われ、また粉末にして花火の接着剤としても使われています。さて、この孔雀石を粉末にした緑色の粉が、古代エジプト美人の「アイシャドウ」として使われていたと言われています。
エジプトでは、古代、金よりも銅のほうがよく使われていたそうで、クレオパトラの美しい大きな目も、この孔雀石のアイシャドウによるところが大きかったのかもしれません!?ちなみに現在のアイシャドウは、基礎クリームの中に、衛生上無害な顔料の粉を練り混ぜて作るようです。青、緑の他に、褐色や、アルミ粉・金粉を混ぜたものもあるようです。
(2000.04.30)


●第4話 今回は「ビールの泡」のお話

なぜ、ビールの栓を抜くと泡が吹き出すのでしょう?まず前提として、「ヘンリーの法則」というものがあります。簡単に言ってしまうと、気体の場合、圧力が非常に重要な要素になっていって、圧力が2倍になると溶ける量も2倍になる、というものです。ビールの泡の中の気体は何でしょう? ビールの原料は「小麦」ですが、この中にある「でんぷん」がこうじ菌によってブドウ糖になり、さらにアルコールの発酵作用で、「アルコール」と「二酸化炭素」になります。つまり、泡の正体は「二酸化炭素」です。
日本酒などではこの時発生する二酸化炭素は捨ててしまうので、製品の中には残りません。しかし、ビールでは、この二酸化炭素は味の一部として利用されています。ビールを缶の中に詰めるとき、、1気圧(私達が普段感じている圧力)よりもっと大きな圧力をかけて二酸化炭素を溶かし込みます。よって、私達が栓を抜くと、缶の中の圧力が急激に下がって、溶けきれなくなった二酸化炭素が吹き出してくる、というわけです。ちなみに、よく振ると、缶の中の気体にエネルギーを与えることになるので、勢いよく吹き出してくることとなります。これが、「ビールかけ」に使われるわけですね!!
(2000.02.12)


●第3話「酸性雨」について

「酸性雨」について。雨水の中には水素イオンが溶けているので、もともと弱酸性ではあります。しかし、問題となっているのは「もっと強い酸性」の雨。どうしてこのような雨が降るのでしょう? 酸性雨は硫黄や窒素が原因とされています。石油や石炭には多くの硫黄が含まれているので、燃やすと硫黄の酸化物が発生します。また、窒素の酸化物はボイラーや自動車などから排出されます。これらの酸化物が大気中で化学変化して水に溶けると、「硫酸」や「硝酸」に変わり、これが酸性雨として地上に降ってくるのです。また、これらの酸化物は、大気の気流にのって1000kmも離れたところまでも影響を及ぼすと言われています。酸性雨は、植物の営みを妨げたり、土壌中の有害な金属を溶かして、樹木や農作物を枯れさせたりします。また、湖や沼の水を酸性にして水中の生物を死滅させることもあります。屋外の金属やコンクリート、大理石が溶けるのも、これが原因です。
 この問題は、世界中至る所で問題となっています。このような酸性雨をなくすためには、石油、石炭などの大量消費の抑制、発生する硫黄や窒素の酸化物の除去方法の開発・改善などが必要になってきます。というか、そもそも今の人類の生活スタイルが環境にやさしくないという根本的な問題があるように思います。これ以上地球が壊れないように本気で考えなければならない時期がきているのかもしれません。
(2000.01.15)


●第2話 環境に関係したお話

 「窒素」って知ってます?「N2」と書きます。これは、空気中に存在します。以外と知られてないのが、窒素は空気中に1番多く存在していると言うこと。ちなみに、2番目が酸素、3番目が二酸化炭素です。空気中に存在している窒素はほとんど化学変化を起こしませんが、自動車のエンジン内などの高温のところでは、酸素と化合して、窒素の酸化物になります。ちまたでは、NOxなどと呼ばれます。この窒素酸化物は、空気中に大量に排出されて高い濃度になると、光化学スモッグの原因になって、人間の人体に呼吸障害を起こしたり、植物が枯れたりします。
 そこで現在では、窒素酸化物を再び無害な窒素に変えたりする研究が進められています。けれど、僕たちも日頃から、あまり車に頼らない生活に変えたほうが良いのかも知れませんネ。運動にもなるし!?
(1999.05.02)


第1話「化学」を勉強したことありますか?

 「化学」を勉強したことありますか? 「暗記ばっか!」とか、「つまんない!」という人が多いようです。 ぼくは、そんなに得意というわけではありませんでしたが、いやなイメージもありませんでした。もし、「私は苦手」という人がいましたら、どうか、気楽に読んでみて下さい。
「周期表」、覚えてます? 結構覚えるの苦労しますよネ!! 覚え方はいろいろありますけど、こんなのはどうですか? 17族(7B族)、よく、「ハロゲン族」などと呼ばれます。
 ふっくらブラジャー愛の後
( F )(Cl)(Br) ( I )(At)

女性の方、すいません。けれど、ぼくは、これを1回聞いただけで、いやでも耳にこびりついてしまいました。思春期の男の子には、BESTでしょ!!!
(1999.04.17)


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